「タバコを吸っているとヒゲが濃くなる」と言われることがあります。喫煙者としてはなぜそのように言われるのか気になるところだと思います。また喫煙者じゃなくても身近な家族に喫煙者がいる場合には、「それが本当ならばやっぱり遠くで吸ってもらわないと…」という思いになってきます。「喫煙がヒゲを濃くする」という噂について、その根拠と理由を論理的に考えてみたいと思います。
目次
大前提)ヒゲは男性ホルモンの影響を受けて濃くなる
男性ホルモンは、ヒゲや体毛の発現、そして成長を促すものとなっています。厳密なところで言うと、男性ホルモンの影響を受けやすい毛と、あまりその影響を受けない毛とがあり、男性ホルモンの影響を強く受ける体毛は「性毛」、あまり影響を受けない体毛は「無声毛」と分類されます。
名称 | 部位 |
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無性毛 | 眉毛・まつ毛・手足の毛、側頭部や後頭部の頭髪 |
性毛(男性毛) | ヒゲ、胸毛・背中の毛・お腹の毛・耳の毛・前頭部や頭頂部の頭髪 |
性毛(両性毛) | ワキ毛・陰毛(アンダーヘア) |
性毛については、男性のみに特徴的に生えるものを「男性毛」と言い、性別に関わらず女性にも男性にも生える性毛を「両性毛」と下位分類します。男性ホルモンの影響を受ける体毛は、無性毛以外の体毛ということになりますので、男性ホルモンが濃い男性ほどヒゲやギャランドゥー、胸毛や陰毛などが濃いということになります。
男性ホルモンが濃い男性ほど、ヒゲや胸毛や陰毛などが濃い
男性であれば男性ホルモンの分泌量が多い人ほど、ヒゲや胸毛、ギャランドゥーが濃くなります。女性にも生える「両性毛」についても男性ホルモンの影響を受ける体毛になりますので、ワキ毛やアンダーヘアが濃い場合は男性ホルモンが相対的に多いと捉えることができます。
男性ホルモンが濃いと前頭部や頭頂部の髪がフサフサになるの??
少し話は逸れますが、男性毛の中には「前頭部や頭頂部の頭髪」が含まれます。これはM字ハゲやO字ハゲと呼ばれる「男性型脱毛症(AGA)」をイメージさせる箇所になりますが、「男性ホルモンが濃い男性であればハゲにくいの?」と言うとそうではありません。
むしろ、逆になるケースが多いです。 「ん??男性ホルモンが濃いと毛が濃くなるんじゃないの?」という疑問を生じていると思いますので、補足としてなぜ前頭部や頭頂部では逆転現象が起こるのかを簡単に解説いたします。
前頭部や頭頂部では、悪玉男性ホルモンが発生してしまう可能性がある
男性ホルモンの代表格とも言える「テストステロン」は、毛髪や体毛の成長を促すものと言えますが、前頭部や頭頂部に関してはそこに存在し得る「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素と結合してしまうケースがあります。
この場合、発毛を促すはずの男性ホルモン(テストステロン)は、「ジヒドロテストステロン(DHT)」と呼ばれる悪玉の男性ホルモンに生まれ変わってしまい、発毛力を弱体化するというマイナス作用をもたらしてしまいます。 ハゲている男性の中には、ヒゲや胸毛が濃いケースも少なくないとは思います。
これは本来プラスに働くはずの男性ホルモン(テストステロン)が、前頭部や頭頂部では結果としてマイナスに作用してしまっているということになります。遺伝的に受け継がれた「5αリダクターゼ」の総量によっては前頭部や頭頂部でこのような変化が起こってしまうため、男性ホルモンの充実した毛深い男性ほど逆にM字ハゲやO字ハゲに陥る可能性があるという「パラドックス」が成り立ってしまうのです。
いずれにしましても、男性ホルモンの代表的な存在である「テストステロン」については、前頭部や頭頂部で起こり得る例外(DHTへの変換)を除いて「発毛力を強化する」という作用がございますので、タバコとヒゲの関係性についてはこの点を押さえておくと良いでしょう。
小前提)喫煙(タバコ)は男性ホルモンの分泌量を高める
「喫煙者と男性ホルモンの関係性」については、ハーバード大学でなされた研究結果が有名です。アメリカ人の中年男性を無作為で抽出し(合計1291名)、タバコを吸う人と吸わない人に分けて男性ホルモンの分泌量を比較検証したものとなります。
タバコを吸う人の男性ホルモンの割合(非喫煙者との比較)
● ジヒドロエピアンドロステロン(DHEA)…18%高い数値
● ジヒドロエピアンドロステロン硫化物(DHEAS)…13%高い数値
● アンドロステンジオン…33%高い数値
● テストステロン…9%高い数値
● ジヒドロテストステロンDHT…13%高い数値
出典:ハーバード大学公衆衛生学部の研究結果
実験では男性ホルモンの代表ともいわれる「テストステロン」以外にも、副腎で産生されるいくつかの男性ホルモンの分泌量についても確認されています。総じて、「喫煙者ほど各種男性ホルモンの分泌量が高い」という結果を示しているため、タバコを吸えば男性ホルモンの分泌量が多くなる可能性があると言われるようになっています。
このようなことで、タバコを吸えば男性ホルモンの分泌量が増えて、その影響によってヒゲが濃くなる…と言われ始めたのだと推測できます。
結論)タバコを吸えばヒゲが濃くなる??
さて、男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が増えていけばヒゲが濃くなることはまず間違いない事実ですが、喫煙習慣を持てば必ずテストステロン値が上昇するかというと、僅か9%という数値を持ってそれを確定するのは難しいようにも映ります。
元々、毛深い人と毛深くない人がいるように、人によって男性ホルモン(テストステロン)の分泌量には少なからず個人差がありますので、9%の落差を持って「タバコを吸えばテストステロン値が上昇してヒゲが濃くなる」と言い切るのは難しいと思います。
「喫煙でヒゲが濃くなる」は微妙…
ハーバード大学での調査が喫煙者と非喫煙者を650人程度のグループに分けた上での総合的な傾向ということですので、確かに「タバコはテストステロン値を上昇させる可能性を有している」と言えなくもありません。
しかし、数値が数値ですので、これだけで「タバコを吸えば毛深くなる」と言い切るのはやや無理があります。 このため、当院としましては「タバコを吸えばテストステロン値が上昇する可能性はあるが、その結果として実際に目に見えてヒゲが濃くなるかは微妙…」だと結論付けておきます。念のため、簡単に「タバコを吸うとヒゲが濃くなる」の理屈をまとめておきましょう。
「タバコを吸うとヒゲが濃くなる」理屈のまとめ
● 男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が増えると、ヒゲなどの体毛が濃くなる
● 喫煙者と非喫煙者を無作為に比較すると、喫煙者のテストステロン値が9%高かった
⇒タバコを吸えば、テストステロン値上昇の可能性が疑われ、これによりヒゲが濃くなる可能性がある
ヒゲもタバコも「清潔感を遠ざけるもの」に違いはない
タバコを吸えば毛深くなるかどうかについては微妙だと判断させていただきましたが、そもそもなぜそのようなことが言われるのかと言うと、「濃いヒゲは好感されない」という事情があるからだと思います。
女性に嫌われたくなければ、「清潔感」を取り込もう!
ヒゲの捉え方にも個人差がありますので、「ヒゲが好き」という女性もいるとは思います。それでも、その女性の想像するヒゲの大半は、清潔に手入れされた「お洒落ヒゲ」と呼べるものなのではないのでしょうか。
「ヒゲが好き」というよりも、「ヒゲが似合うイケメンが好き」という方が正確なような気もしますし、そこには漏れなく「清潔感」という条件が付け加えられます。 当コラムのテーマ「タバコ」については、時代が求める「清潔感」の対極に位置するものとなっており、副流煙などの影響で現在では公共スペースから排除される傾向が強まっています。
タバコを止めるのは難しいケースもあるため、禁煙という形で「清潔感」を手にするのは困難な場合も予想されますが、「濃いヒゲ」という見た目の印象については医療脱毛の力でコントロールすることが可能です。
喫煙者も非喫煙者も、ヒゲに関する「清潔感」はコントロール可能!
現在、医療技術は目を見張る進化を遂げており、医療脱毛についても例外ではありません。数十年前までは、医療機関(クリニック)では「絶縁針脱毛(ニードル脱毛)」と呼ばれる針を使用した脱毛施術が主流であったため、痛くて費用や時間もかかる大変な施術となっていました。
このため、「濃いヒゲ」に関しては薄くするという現実的な手段が選べず、ヒゲの濃い人は一生ヒゲが濃い印象を背負って生きていくのが通常でした。 ところが、「レーザー脱毛施術」が登場したことで「ヒゲの扱われ方」は大きな転換期を迎えています。
それまでは、ヒゲはシェーバーやカミソリで剃るしかなく、濃い場合には「青髭」というお悩みも根深いものとなっていましたが、「レーザー脱毛施術」の登場によって現在ではこのようなお悩みも「ヒゲ脱毛」で解消できます。 当院では随時「無料カウンセリング」を実施していますので、時代に即した「清潔感」を手にしたいという男性はどうぞお気軽にご相談ください。